マーケティング

成功の鍵は顧客理解にあり!企業マーケティングにおけるペルソナの重要性

こんにちは。株式会社K.OFFICEの奥休場です。

  • 「顧客の獲得に苦しんでいる」
  • 「売上の伸び率が低下し打開策が見つからない」
  • 「ペルソナを活用したマーケティング戦略が知りたい」

といった課題を抱えている企業は多いのではないでしょうか。

ただ商品を開発して売るだけの戦略で生き残るのは、正直難しい世の中になっています。
いかに現状を把握し、顧客が抱える課題をピンポイントで解決していくかが必要不可欠です。

そのための第一歩として「ペルソナ」の設定が必要であり、企業が成功する鍵も握っているといえます。
とはいえ、ペルソナを作成する方法が分からない企業も多いと思いますので、ペルソナの本質に触れつつ、分かりやすい作成方法まで解説していきます。

成功事例や活用方法などイメージしやすい記事に仕上がっていますので、最後までご覧ください。

1.マーケティングにおける顧客理解の重要性

ミーティング

マーケティング活動で効果を出すには、顧客理解が最も重要かつ必要不可欠です。
よく「マーケティング戦略を強化しよう」と意気込んだものの、顧客の理解が浅く視点がズレていることで検討外れな施策を講じている企業もあります。

顧客理解ができていなければ、顧客視点に立つことすらできず、マーケティング戦略の設計も難しいでしょう。
とはいえ、顧客理解を進めるには方法が分からない企業も多いと思います。

そこで、まずはペルソナの重要性を理解した上で、明確に設定していくのが成功の鍵です。

 

1-1.ペルソナとは何か

ペルソナとは、自社の製品やサービスのターゲット層になる顧客を架空人物として設定することを指します。
単に「20代の女性」といった大きな枠に当てはめただけのペルソナに留まるのではなく、「空想上の一人の人物」になるまで条件を絞り込む必要があります。
ターゲットと似ている存在にはなりますが、ペルソナはより明確な条件が設定されている存在と考えてください。

具体的には、以下の条件まで設定しておくと良いでしょう。

  • 名前・性別・年齢・居住地
  • 家族構成
  • 勤務先・職業・勤務地
  • 年収
  • 学歴
  • 趣味・趣向
  • 性格
  • 生活行動パターン
  • 悩み・抱えている問題(エピソード含む)

上記のように、ユーザーを取り巻く環境まで想像する必要があります。

 

1-2.なぜペルソナが企業マーケティングに不可欠なのか?

マーケティングでは、顧客が求めているニーズの(つまり顧客理解)理解が欠かせません。
そもそも顧客理解は、マーケティングを考える上で要素となる4P(Product/Price/Promotion/Place)分析をしていく中で必要となる情報元です。

つまり、顧客理解を進めるとそれぞれの項目で課題や改善策が見えてきます。
例えば、

  • Product(商品):どのような顧客が利用し、どんな欲求を抱え、それを解消する商品なのか
  • Price(価格):顧客の状況や感じている価値に対して適正な価格なのか
  • Promotion(認知):顧客の認知や反応、市場全体の認知はどうなっているのか
  • Place(流通):顧客は商品に辿り着く経路や利用までのプロセスはどうなっているのか

といった分析を進めるには、顧客のリアルな情報が必要になるというわけです。

そこで、顧客理解を深掘りしていくには、明確かつ精度の高い「ペルソナ」の設定が必要となります。
もしペルソナの設定もなく描いている顧客像が曖昧な定義になっていれば、深掘りしたところで本質からズレている可能性もありますし、そこから導き出したマーケティング施策は効果の薄い内容になってしまうはずです。

最も適切なアプローチを仕掛けていくためにも、ペルソナの設定は最重要となる工程といえます。

 

2.正しいペルソナを設定するためのステップ

ミーティング②

ここからはペルソナを正しく作るための方法を3ステップに分けて解説していきます。

  • ステップ1:顧客データの収集と分析
  • ステップ2:顧客のニーズと行動の策定
  • ステップ3:ペルソナの具体化とプロファイリング

 

2-1.ステップ1:顧客データの収集と分析

まずはペルソナの骨格を作るためにも、顧客のデータをあらゆる方向から集めます。
既存顧客が商品やサービスの購入前〜購入後まで、全ての段階において何をどんな風に感じているかを抽出しましょう。

当然、既存顧客から情報を集めるのは当然ですが、最前線で顧客と接している営業部門がある場合は、現場で聞いている・見えている情報も拾い上げておくとより現実味のある貴重な情報獲得につながるはずです。

顧客からの情報収集の王道はアンケートになりますが、他にも多数の経路から入手できます。
例えば、

  • インタビュー
  • 公式サイト・販売サイトに対するアクセス解析の結果
  • SNS関連
  • 口コミサイト

からも収集可能で、リアルな声を聞くことができます。

ちなみに収集すべき情報やデータには2種類存在します。

  • 定量データ:年齢/居住地/職業/年収/行動特徴
  • 定性データ:趣味嗜好/価値観/取り巻く環境

定量データは「数値や割合で明確に表せられるデータ」であり、定性データは「数値等では表せない価値観や行動を表すデータ」です。

ペルソナは明確に人物像を作る必要があるので、両方向のデータを収集し、正しく分析していく必要があります。

 

2-2.ステップ2:顧客のニーズと行動の策定

データの収集が完了した後は、現在の顧客が求めているニーズと行動のプロセスを深掘りしていきます。
データから見えてくる現在の顧客状態を理解しなければ、正しいペルソナの設定は難しくなってしまうため、データから顧客が求めているニーズや行動パターンを細かく抽出していきましょう。

具体的には、以下のデータを項目に分けて整理しておくと、次のステップであるペルソナの具体化が分かりやすいです。

  • 共通する行動パターン
  • 各ポイントにおける心理状態
  • 商品やサービスの接点
  • 抱えている課題

このフェーズは一人で担当してしまうと主観や思い込みが入ってしまう可能性もあるため、可能であれば複数の人で担当するのがおすすめです。

 

2-3.ステップ3:ペルソナの具体化とプロファイリング

ペルソナシート

引用画像:DESIGN a

十分な情報が集まったら、最後にペルソナを具体化していきます。
やみくもに設定するのではなく、ペルソナシートなどフォーマットを作成し、用意しておいた項目を全て埋める形で明確にしていきましょう。
また、シートにしておけば誰が見ても共通認識を持てる形になるので活用の幅が広がります。

前項目にも載せましたが、具体的するために必要な項目は、

  • 名前・性別・年齢・居住地
  • 家族構成
  • 勤務先・職業・勤務地
  • 年収
  • 学歴
  • 趣味・趣向
  • 性格
  • 生活行動パターン
  • 悩み・抱えている問題(エピソード含む)

となります。

広告戦略やSNS戦略に活用するケースも多いので、「情報はどこから入手することが多いのか」「利用するSNSやメディアは何が多いのか」まで具体化しておくのがおすすめです。

 

3.ペルソナのメリット:なぜ企業にとって重要なのか

カスタマージャーニーマップ_06

ペルソナを細かく設定することで得られるメリットを再度確認しておきます。

よく「とりあえずペルソナを設定しておけばOK」といった浅い考えを持っている企業や担当者が存在します。
しかし、どんなメリットがあって企業にとってどのような重要性があるのかを理解した上で設定しなければ、ペルソナを上手く活用することはできないでしょう。

 

3-1.ターゲットの絞り込みと効果的なアプローチ

ペルソナの設定は商品やサービスが狙うべきターゲットを明確にすることで、潜在ニースや消費者インサイトの理解につながるため、優先して解決すべき問題を浮き彫りにします。
その結果、ダイレクトに響く効果的なアプローチを実施できるので、より多くの顧客獲得につながるはずです。

反対に正しいペルソナの設定がなければ、課題が見つかっても解決すべき優先順位が決められない事態やニーズとはかけ離れた施策の実施など、無駄な労力を費やす結果になります。

 

3-2.マーケティング活動のパフォーマンス向上

ペルソナの設定はマーケティング活動の精度を高め、パフォーマンスの向上に役立ちます。
なぜなら、ペルソナの設定によって商品やサービスに関わる全ての人にターゲットや目的の共通認識を共有できるため、全員が同じ方向性を向いた上でさまざまな施策を講じることができるからです。

例えば、各部門によってターゲットの認識がズレていれば、商品やサービス、顧客との向き合い方に差が出てします。
その状態でどれだけ優れたマーケティング施策に取り組んだとしても、効果が薄くなり最大限のパフォーマンスを発揮するのは不可能です。
反対に、全員が同じ方向を向いている状態であれば、解決すべき課題に対して効果的な動きを企業全体で取り組めます

 

3-3.顧客とのより深い関係の構築

ペルソナの設定によって顧客のニーズを把握できるため、顧客視点に立った施策を展開できます。
顧客視点に立てるということは、顧客が抱えている不満や不安、課題を理解し、ピンポイントで解決できることになります。

そうなれば、顧客はより一層ファン化(新規・リピーター含む)していくため、お互いの関係性は強くなっていくはずです。

これだけモノやサービスが溢れる時代であれば、どれだけ顧客の興味を引き関心を持ってもらうかが重要になります。
長期で選ばれる続ける存在になるためにも「ペルソナ」の設定が重要であり、マーケティング施策の入り口ともいえます。

 

4.【実践例】ペルソナを活用した企業の成功事例

ハイタッチしている男女

正直、「ペルソナと言われてもイメージしきれない」「活用した先のゴールが見えない」と感じる方もいるのではないでしょうか。
具体例として、ペルソナを活用して成功した企業例を紹介していきます。

 

4-1.事例1:日立アプライアンス(BtoB企業)

ペルソナと聞くとBtoCをイメージしがちですが、BtoBにも活用すれば大きな成果を期待できます。

業務用空調機を開発している日立アプライアンス(現日立グローバルライフソリューションズ)では、実際の空調機をお客様に販売している企業(すなわち取り付けも実施する設備店)が今よりも商品を売りやすくなる環境を提供すれば、より商品が売れると考え、取引相手となる設備店のペルソナ設定を実施しました。

具体的には、取引相手である設備店(1800社以上)にアンケートとインタビューを行い、現状のデータを抽出。
その結果を元に、設備店の経営者である「旭立信彦」という架空の人物を作り、「設備店経営者はどんな情報を必要としているのか」を考え本当に必要とする販促ツールになるよう改善を実施したことで、市場シェアを伸ばすことに成功した形です。

結果として、シングルパッケージ型エアコンの市場シェアは9.8%から11%まで拡大しています。

開発側の目線ではなく、リアルに顧客と接しているフロントに目を向け、顧客とのコミュニケーションから出てくる課題を浮き彫りにした視点は重要といえます。
また、企業全体で捉えるのではなく、一個人である経営者に焦点を当てたペルソナ設定という部分も注目すべき点です。

 

4-2.事例2:カルビー(BtoC企業)

子供〜大人まで幅広い層から支持を集めているカルビーは、ペルソナを活用してとある商品を爆発的にヒットさせています。
ある商品とは、カルビーを代表するお菓子で多くの方が知っている「Jagabee」で、2006年に発売され「じゃがりこ」以来の大ヒット商品です。

「Jagabee」発売前までのカルビーでは、「20代〜30代」「50代」の女性はポテト系スナック菓子を敬遠する傾向があるというデータがあり、顧客を取り込めず苦戦していたそうです。
そこで解決策を見つけるためにペルソナを設定し、そこからニーズを考え商品開発を進めてヒット商品の開発に成功しています。

設定したペルソナの内容としては、

  • 27歳女性
  • 独身
  • 都内/文京区在住
  • ヨガと水泳に凝っている

と定義し、都会的な女性で、おしゃれに気を配り、常に情報収集は怠らず、無駄のないシンプルな生活、健康的といった女性像を作成しています。
したがって、商品は素材そのものを楽しめる味、パッケージのデザイン、色合いも都会的なトーンなどペルソナのニーズに応える・刺激する商品開発を実施。
宣伝の一つであるCMでもペルソナの世代が読む雑誌「Oggi」のモデルを採用して親近感を持ってもらうなど、顧客の取り込みに成功した形です。

あくまで一人を想定した商品開発ではあるものの、明確な基準や特徴を定義したことで、立ち位置が分かりやすい商品になり、多くの人から共感され支持を集めています。

 

5.ペルソナ設定時のよくある落とし穴

パソコン作業をする女性

ここまで読んでいただくと、いかにペルソナの設定が重要になるのかお分かりいただけたかと思います。

ただし注意しなければならない点が2つあり、理解しておかなければ実情とかけ離れたペルソナが出来上がってしまい、思わぬ落とし穴に落ちる可能性があるので、ここで確認しておきましょう。

 

5-1.一般化とステレオタイプの避け方

ペルソナを設定する時に最も起こりがちな事象として、顧客の表面的理解、すなわち固定概念にとらわれた思考でステレオタイプのペルソナを作り上げてしまうことです。

特に、自社の製品やサービスに長年関わっている人ほど、「顧客はこういった人間だろう」「〇〇の層が多いイメージなのでペルソナは〇〇であろう」と経験上の憶測が入ってしまうケースがあります

確かに、一部正しい見解があるケースもありますが、ペルソナは顧客が心底から抱えている不満や不安、課題を解決する必要があるので、正しいエビデンスを元に判断する必要があるでしょう。

 

5-2.データに基づかない過程の危険性

ステレオタイプを避けるためにも、ペルソナの設定にデータの活用は必須です。
反対に、データを活用しないプロセスを辿ってしまうと答えのない迷宮に入ってしまう可能性もあります。

現在商品やサービスを提供していれば、ある程度顧客についての予測はつくものの、裏付ける根拠が無ければ想定できるペルソナがいくつも生み出されてしまい、最終的な判断が難しくなります。
そうならないためにも、インタビューやアンケート、購買データを収集して、実情から見えてくるペルソナを導き出すことが必要なのです。

ちなみにデータの活用で注意すべきは、自社にとって都合の良いデータだけを見てしまい、顧客のニーズとかけ離れてしまうケース
企業の理想をペルソナに設定してしまう企業も多く、無意識にその路線を辿っているケースも見かけます。

したがって、可能であれば自社だけの人間だけでなく、マーケティング強化を目的として外部の人間も交えて施策を練っていくのもおすすめです。
特に、社内にマーケティングに精通した人材がいないのであれば、専門としている事業者の手を借りることで、施策の実行から分析、見直しまで最短ルートでサイクルを回すこともできます

 

6.ペルソナの力を最大限に活用するために

会議風景

ペルソナを設定した後、どう活用していくかも非常に大切なフェーズです。

設定することに満足するのではなく、そこから最大限活用し、時には見直しも行いながら結果に結びつける必要があります。

 

6-1.継続的なレビューと更新の重要性

ペルソナを元に施策を実行した後は、必ず結果の分析を継続的にしていくことが不可欠です。

仮に設定した時点では正しかったはずのペルソナでも、1年後・3年後・10年後など時代に合わせて変化している可能性があります。
これだけ変化の激しい時代であれば、顧客を取り囲む環境や価値観は常に変化しているため、継続的にペルソナを見直す必要があるでしょう。

また、見直しを行った結果、顧客のニーズと乖離しているのであれば、早急に更新を行ってください。
もし一度決めたことに躊躇して更新が遅れてしまえば、顧客と企業の溝は深まってしまい、進むべき方向性も誤ってしまうでしょう。

 

6-2.ペルソナを企業戦略に統合するためのヒント

ペルソナの企業戦略にどう組み込んでいくかは、各企業によってさまざまなパターンになるため、一つの答えとは限りきません。

したがって、ここでは一般的な活用例として3つの戦略パターンを紹介しておきます。

 

6-2-1.広告戦略の活用

広告も対象となるペルソナの年齢や環境によって、アプローチ方法を考える必要があります。

例えば、

  • CM
  • 雑誌
  • オウンドメディアやWeb記事
  • SNS
  • ブログ

など、さまざまな広告の経路があります。

主婦層であれば家事の合間に見ることが多いブログ記事に広告を貼り付ける、10代の女子であればSNSの中でもTikTokに広告を流すなど、ペルソナの利用頻度が多い経路に広告戦略を打つことが大切です。

広告は上手く機能すれば大きな効果を期待できますが、その分多大なコストがかかる項目となります。
無駄なコストをかけないためにも、適切なタッチポイントの見極め材料としてペルソナが活用できるはずです。

 

6-2-2.アピールポイントや売り出し方の検討

ペルソナによって、商品やサービスの伝え方・売り出し方を変えたほうが得策です。
使用すべき単語やフレーズも、設定したペルソナによって捉え方が違うため、戦略的に選ぶ必要があります

例えば、サプリメントであればペルソナの年齢によってアピールポイントは変わってきます。
年齢によって不調が多い部位や症状は変わりますし、なりやすい病気も変わるため、打ち出し方は変える必要があるでしょう。

補足として、設定したペルソナの年代や趣向、行動パターンなどは調査・研究しておくことも必要かもしれません。

 

6-2-3.SNS戦略

年代や性別、商品やサービスが属する内容によって選ぶべきSNSも変える必要があるため、ペルソナを基準に運営していくSNSを判断します。

  • 年齢が50歳を超えたアッパー層であればFacebook
  • 20代を中心とする若者であればInstagram
  • リアルタイムな情報を求める層であればX

などそれぞれ特徴があるため、ペルソナを活用して運営先を判断するようにしてください。

ペルソナによっては、複数のSNSを運営し発信内容をそれぞれで変えていく動きになるのも答えの一つです。

 

7.企業マーケティングの未来を切り開くペルソナ

いかがでしたでしょうか?

私もさまざま企業を見てきましたが、「商品やサービスが売れなくて困っている」と嘆いているだけの企業も多く見かけます。
これだけ商品やサービスが溢れている社会であれば、ただ売っているだけではもう勝ち残れないのが今の時代です。

顧客にとって「無くてもいい存在」ではなく「無くてはならない存在」になるためには、顧客が今抱えている課題を解決できる仕組みが必要となります。
その第一歩として「ペルソナ」は欠かせない要素になりますので、ぜひこの記事を参考に取り組んでください。

もし、社内のリソースが足りず着手できない・人材が足りないということでしたら、株式会社K.OFFICEに一度ご相談ください。
広告業界に長く関わり、商品やサービスを売るためのノウハウを持ったディレクターが全力でサポートします。
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