こんにちは。株式会社K.OFFICE の奥休場です。
Webサイトの運営やWebマーケティングを行うなかで、UX(ユーザーエクスペリエンス)という言葉を日々耳にしている方は多いと思います。
単にプロダクトやサービスを販売するだけでは、ユーザーの心をつかむ成果を出しにくく、UXの改善・向上が今や必要不可欠になっている状況です。
とはいえ、「そもそもUXについて理解が浅い」「UXに対するアクションが分からない」など、二の足を踏んでいるケースも多いのではないでしょうか。
さらに、誤ったUX施策してしまえばあなたのビジネスに大きな影響をもたらすため、UXに対する正しい知識も必要です。
そこで、今回はUXの基礎や要素の解説をしていき、高めるための手法も3つのステップで紹介します。
イメージしやすいように他社の事例も載せて、UXでお悩みの方に有益な情報を届けられる記事になっていますので、ぜひ参考にしてください。
1.UXとは?その定義と重要性
ユーザーエクスペリエンス(以降、UX)は「User Experience」を略したもので、端的に言えば「ユーザー体験」を指します。
具体的に解釈すると「ユーザーが製品やサービスの利用中や利用前後の体験を通して価値を提案し、その時に感じる感情や満足度、評価の全て」といった意味を持つ言葉です。
つまりUXを改善すれば、ユーザーがプロダクトやサービスを通して感じた課題を解決できる、重要な考え方となります。
広い領域を指す言葉になりますが、UXを考えるうえで、3つの側面に分けて定義しておくと、全体像を理解しやすくなるはずです。
ここからUXの具体的な定義や重要性について解説していきます。
1-1. UXの定義とは
UXの定義とは、Wikipediaでは次のように記載されています。
ユーザーエクスペリエンス(英: user experience)とは、人工物(製品、システム、サービスなど)の利用を通じてユーザーが得る経験である。しばしば「UX」と略される[1]。「ユーザー経験」「ユーザー体験」などと訳される。
引用:Wikipedia
さらにUXを細分化していくと3つの側面に定義されます。
- 主観的側面:製品やサービスの体験したことで抱いた感情や評価
- 時間的側面:製品やサービスの利用前〜利用後まで全ての体験期間で抱いた感情や評価
- 状況的側面:製品やサービスを体験する環境や状況の全て
それぞれに対して考慮・改善していくことが必要不可欠です。
1-2. UXがビジネスにもたらす影響
今やUXはビジネスを発展させていくうえで欠かせない概念となり、与える影響は大きいと言えます。
ハッキリいってUXが指し示すユーザー体験は、直接売上に結びつくといっても過言ではなく、どんなビジネスでもUXの重要性を理解しておく必要があるでしょう。
特に近年はUX(ユーザー体験)に着目される理由として、消費者の価値観・行動の変化が大きく、所有から体験思考に変化しています。
具体的にはプロダクトやサービスの機能や内容での差別化が難しい状況も多く、モノを通した「体験」「評価」を重視する時代にシフトしたといえるでしょう。
つまり、全ての過程においてどれだけ体験価値を得られるかが、製品の購入・サービスの継続へと繋がっている形です。
多くのプロダクトやサービスはインターネット上でのやりとりが主流とされる状況ですので、消費者との接点であるウェブサイトにおいて、UXの最適化は最重要項目となります。
「そうはいってもUXの最適化をするにはどうすれば?」といった方もいると思いますので、ウェブサイトにおけるUXの要素について解説していきます。
2. ウェブサイトにおけるUXの要素
ウェブサイトにおけるUXの要素で覚えておくべきことは、大きく2つです。
- ユーザビリティ(使いやすさ)
- コンテンツの質
正確には両者共にユーザーインタフェース(UI)の領域とも言えますが、結局UIはUXを高めるため(最適化)の手段でしかありません。
つまり、ユーザビリティ・コンテンツの質の改善がUXに良い影響をもたらす形です。
それぞれの要素で着目すべき視点とはどんな点でしょうか。
2-1. ユーザビリティ(使いやすさ)
ユーザビリティとは、「使いやすい」「使い勝手」「有用性」などの指標で、ユーザーとの接点においてデザインが見やすいのか、使いやすいのかといった満足度・評価を表す概念です。
ユーザビリティが優れているサイトでなければ、ユーザーは価値を見出せず離脱していきます。
そこで大前提として、「見やすい」「読みやすい」ウェブサイトを設計していく必要があります。
具体的にはデザインとナビゲーションにフォーカスする必要があるでしょう。
2-1-1. シンプルなデザイン
ユーザビリティが優れたサイトには、極力余計な情報や要素を排除したシンプルなデザインにする必要があります。
ミニマルデザイン、フラットデザインとも呼ばれ、ユーザーの視界に入る情報量がすっきりしていれば、ウェブサイトでアピールしたい情報が分かりやすくなり、訴求力も高まるデザインになるでしょう。
シンプルなデザインにおいて大切なポイントは次の通りです。
- 目的や伝えたい内容から外れる情報は省く
- ユーザーへ伝えたい情報が明確になるようデザインにメリハリをつける
- 適度に余白のバランスを考慮する
- デザイナー目線ではなくユーザー目線は最重要
単に情報を削ればいいのではなく、レイアウトやテキスト内容、カラーなど要素毎に検討していく必要もあります。
ユーザーが知りたい情報をいち早く提供できるような、ユーザビリティ溢れるサイトにしていきましょう。
また、ファーストビューにおいてもシンプルかつ素早く情報が伝わるデザインが大切です。おそらく、あなたもウェブサイトを開いてすぐに見切りをつけ、ページを離脱した経験があるのではないでしょうか。
サイトを開いてから約3秒で第一印象が決まるとも言われているので、ファーストビューにも工夫が必要です。
2-1-2 直感的なナビゲーション
ユーザビリティを高めるには、直感的に分かるナビゲーションの設定が必要不可欠です。
つまり、訪れたウェブサイトにてユーザーは考えることなく、素早く欲している情報へ辿り着ける導線の設計が必要でしょう。
ナビゲーションの例は次の通りです。
- ユーザーが必要とする情報へ案内するグローバルナビゲーション
- ウェブサイト内にあるコンテンツの案内といったローカルナビゲーション
- 関連コンテンツへ誘導する関連ナビゲーション
- ページ階層を提示するパンくずナビゲーション
そもそも、ナビゲーションはウェブサイトの使いやすさに最も直結する項目で、あらゆる部分に設置が必要です。
ユーザビリティを高めるためには、ユーザーが即座に理解できるナビゲーションを意識してください。
具体的には、
- どこに情報があるのか明確に分かりやすくする
- リンクやボタンがクリックできるのか明確にする
- ユーザーがイメージしている挙動通りに動く
など、ユーザーの考える時間や悩む時間を極力無くしていくことで、ユーザビリティが高まるといえます。
2-2 コンテンツの質
コンテンツの質についても、UXを考えるうえで大切な要素です。
現代は情報が溢れているだけに、使いやすさに加えてどれだけコンテンツの質が伴うのかが欠かせません。
さらにコンテンツの質はSEOにも影響を及ぼします。
質が低ければ滞在時間短い・解約率が高いなど、ユーザーのニーズが満たせないと判断され、サイトの評価は下がってしまいます。
2-2-1 関連性の高い情報提供
プロダクトやサービスに関連する情報をできる限り提供できれば、ユーザーの検索ニーズを満たしていくことにつながります。
ユーザーの検索ニーズを満たす=コンテンツの質と言えるので、関連性の高い情報提供が必要不可欠です。
ちなみに、関連性の高い情報を考えるときには、ユーザーが抱える「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」をリストアップし、それぞれのニーズに答える情報を提供していくようにしてください。
ユーザーにも自覚がないニーズを刺激できれば、優れたUX施策と言えます。
2-2-2 ビジュアルの効果的な利用
UXは「かっこいい」「おしゃれ」「可愛い」といったビジュアルによる訴求がポジティブなユーザー体験につながるケースは多々あります。
例えば、ウェブサイトに訪れるだけで、
- 見ているだけでワクワクする
- 五感が刺激されモチベーションが高まる
- サイトに訪れると自己満足感が上がる
といった感情をビジュアルを通して揺さぶることが可能です。
ポジティブな体験は、プロダクトやサービスへの興味・購買意欲に直結するので、ビジュアルを利用するUX施策は非常に効果的になります。
3.UXを高めるための3ステップ
ではここから、自社サイトのUXを高めるためのステップを解説していきます。
意外とUXを改善するプロセス(UXデザイン)は知られていない状況で、各担当者やデザイナーも方法を模索している方も多いようです。
UXを効果的に高める施策として、次のステップを参考にしてみてください。
- ステップ1:ターゲットユーザーの理解
- ステップ2:ユーザーフローの最適化
- ステップ3:ユーザーテストの実施
3-1.ステップ1:ターゲットユーザーの理解
まずはサイトのターゲットに設定しているユーザーについて調査し、理解を深めていきます。
もしターゲットユーザー(以下、ペルソナ)が曖昧になっている場合は、プロダクトがBtoCであれば年齢・性別・職業・地域・悩みや課題・興味や関心について、BotBであれば企業規模・部署・属性について細かく再定義してください。
その上でユーザーの利用状況を把握し、サービスやプロダクトに求めている要求を整理します。
ユーザーを正しく理解できれば、現在改善すべき箇所がおのずと見えてくるはずです。
3-2.ステップ2:ユーザーフローの最適化
次にユーザー体験の全体像を把握し、ユーザーフローを最適化していきます。
全体像の把握は「カスタマージャーニーマップ」を作成するのがおすすめです。
カスタマージャーニーマップとは、購入前・利用前〜購入後・利用後までの行動や思考、感情などのユーザー体験を全て可視化したものです。
全体像を掴んだら次のポイントに着目し、ユーザーフローの見直し・最適化を実施してください。
- ユーザーの流入ポイント
- ユーザーが離脱しているポイント
- ユーザーから共感や感動を得ているポイント
購入したユーザーだけでなく、購入前の見込み顧客を可視化しておけば、購入までに生じている問題点も発見できるため、ピンポイントに改善策を打つことができます。
3-3.ステップ3:ユーザーテストの実施
ユーザーテストとは、ターゲットとする一般ユーザーにサービスやプロダクトを体験させ、その行動を観察・問題点を探る方法です。
利用シーンも想定される状況に合わせ、プロセスの中で問題点をリストアップします。
ユーザーテストは以下の点に注意しましょう。
- 録画機器で参加者の動向を記録する
- ユーザーがやるべき行動は事前に説明はするがテスト中は口出ししない
- テスト終了後にインタビューを実施する
3-3-1. 実際のユーザーの声を取り入れる
テストを体験したユーザーからの声は必ず分析し、UXを高める施策として取り入れましょう。
録画の記録やユーザーへのインタビューを通して、操作している中での混乱、操作ミス、体験で感じた感情などを具体的に拾い上げていきます。
各段階で生じている課題を可視化する必要があるので、拾い上げたユーザーの意見は全て付箋にまとめ、サイト内の該当する項目毎に当て込んでいくと整理しやすいでしょう。
3-3-2. サイトの問題点を特定し改善
ここまで進めれば、現状の問題点が浮き彫りになるので、優先順位を定め改善していきます。
状況によっては問題点を改善し、再度テストを実施するなど、繰り返しユーザーテストを実施するケースもあるでしょう。
分析、仮説、検証のサイクルを「素早く」「何度も」回していくことは、UXの向上の手法としては非常に効果的です。
ちなみに、開発側がユーザー視点に立ってテストを体験してみるのもおすすめです。
作り手側で見えてなかった不具合や混乱、不便さなどの問題点を発見するキッカケにもなります。
【最新版】UXが参考になる事例
少しでもイメージが湧きやすいように、UXが参考になる事例を3つ紹介します。
UXが優れたサイトやアプリにはどんなユーザビリティがあり、どんな悩みや課題が解決できるのかを見ていきましょう。
ぜひ、「自分のサイトならこうなるのかな?」とあなたの運営サイトに置き換えながら読み進めてください。
1.Airbnb
Airbnbは、民泊したい・スペースを借りたいユーザーと貸したいオーナーを繋ぐマッチングサービスです。
企業理念の「世界中のユニークで感動的なスペースを提供するホストと本物の経験を探す旅行者をつなぐ」をサイト上で表現するためにも、ユーザーが欲しい情報を直感的な操作・体験だけで完了できる仕様になっています。
パソコン上では面倒な入力操作が少なくなるよう、数回のクリックで情報まで辿り着けるよう導線が工夫されています。
スマホ上でもメニュー表示など配置が工夫され、指を大きく動かさずにタップできるなど細かな配慮は真似したいポイントです。
また、検索キーワードでも「スゴイ!」「最高の頂き」などよくある旅行サイトでは使わない表現で宿泊先・旅行先を検索できるので、検索の時からユーザーがワクワクするようなUXになっています。
ユーザーが混乱しやすいボタンやアイコンも、直感で分かるデザインとカラー構成になっているので、操作しやすくサイト内をポジティブに体験できるサイトに作り込まれています。
2.Instagram
Instagramは、全世界に多くのユーザーを持ちトレンドを常に発信し続けるSNSです。
画像という視覚的な情報で訴求ができるため、投稿者の世界観を表現しやすく、閲覧者も理解しやすいUXになっています。
InstagramのUXで最も優れている点は、単に写真を投稿する楽しさだけでなく、写真や映像を多くの人に共有できる・反応を得る体験ができる部分でしょう。
これは、日常ではなかなか感じられない喜びを、アプリを通して体験(ユーザー体験)し続けられることになり、Instagramを利用する価値と言えます。
加えて、ハッシュタグによる検索のしやすさやいいね・コメントのしやすさなど、利用者がとことん直感で閲覧・操作できるアプリになっているのも参考にしたいポイントです。
3.Amazon
もはや説明不要の世界最大規模のECサイトがAmazonです。
Amazonには各所に優れたUXが散りばめられていて、UXのヒントを集めるには最高のサイトと言えます。
例えば、ユーザーの面倒な操作を極力減らすためにも、過去の購入履歴を分析し再購入がありそうな商品をAmazon側から提示する機能があります。
効率的に買い物ができるよう工夫されていて、ユーザーにとっては利便性の高い体験が味わえるので、Amazonの良い顧客となります。
また、商品検索をしていると関連した商品が自動で表示されるため、ユーザーは自然と沢山の商品の中から自分にぴったりな物を見つけ出すことができます。
このレコメンド機能は、ユーザーが面倒に感じる操作を省略するだけでなく、合わせて購入すべき商品があれば簡単に見つけ出せるなど、ユーザー視点を重視した優れたUXの一つです。
あなたのウェブサイトもUXを見直し、成果を上げる一歩を
いかがでしたでしょうか?
ここまで読み進めていくと、お客様から選ばれるためにはUXを高める施策が必要不可欠というのはお分かりいただけたと思います。
特にウェブサイトにおいては、ポジティブなユーザー体験を提供し続けられるサイト構成になっていなければお客様は離脱し、あなたの良いプロダクトやサービスを利用する機会さえ失っているでしょう。
事例で紹介したように、各業界トップを走る企業はサイトの使い心地はもちろんのこと、ユーザーが体験する全ての行動に着目し、UXを高める施策を実施し続けています。
となれば、ゴールや目的を曖昧にした「中途半端なウェブサイト」で成果を上げるのは正直難しい状態ですので、この記事をキッカケにUXについて見直してみませんか。
ただし注意すべきは、間違ったUX施策をしてしまえば、ビジネスにマイナスの影響をもたらします。
過去にIcons8と呼ばれるアイコンやイラスト、画像を何万点と提供しているサイトで、UXの改善を目的としたデザイン変更をしましたが、結果的に利用していたユーザーが50%近く減少した事例もあります。
もし、UXに精通している人員がいないのであれば、一度、株式会社K.OFFICEにご相談下さい。
弊社では10年以上の広告業界の経験で、100社以上の企業さまのお手伝いをしてきたディレクターが御社の運営するサイトのUX向上を目的とした改善・施策のお手伝いを致します。
まずはお気軽にお問い合わせ下さい。