こんにちは。株式会社K.OFFICEの奥休場です。
動画制作において必ず耳にする「カラーコレクション」「カラーグレーディング」は、混同されがちな存在ですが、それぞれの役割は明確に異なります。
動画制作に関する知識や経験が豊富でなければ、目的や作業内容にどんな違いがあるのかなど、よく分からない方も多いのではないでしょうか。
イメージ通りの動画を作るためには、それぞれの違いを理解しておくことが必要不可欠となりますので、今回の記事で理解を深めておきましょう。
今回の記事では、
・カラーコレクションの役割と目的
・カラーグレーディングの役割と目的
・カラーコレクションとカラーグレーディングの違い
・カラーコレクションとカラーグレーディングの作業内容
について詳しく解説していきます。
目次
1.カラーコレクションとは
カラーコレクションとは「映像の色彩を補正する作業」のことです。
具体的には撮影後の編集において、
・目で見える色とレンズを通した色の違いの調整
・色温度の補正
・撮影シーンの雰囲気に合わせた色味の調整
・シーン間の色味の統一
など、撮影した素材の色補正を行うのがカラーコレクションです。
1-1.カラーコレクションの目的
カラーコレクションでは、さまざまな調整を行なうことが可能ですが、カラーコレクションの目的は大きく分けて2つになります。
1-1-1. 素材を適正の色に調整
撮影された素材は、本来の色(人が目で見ている色)を完璧に反映していません。
例えば、本来「白」で映るべき部分が、ライトの色や当たり方によって データ内では「オレンジ」として写っていることがあります。
したがって、彩度やホワイトバランスを調整して、素材を適正な色に補正する、これがカラーコレクションの1つの目的です。
また、LOGやRAWで撮影した素材は、最終的にカラーグレーディング(素材に実際とは違う色彩の調整を加え、雰囲気を演出する編集作業)を行なっていきますが、その事前準備としてもカラーコレクションは必要不可欠になります。
ここで色情報を整えておかなければ、カラーグレーディングで的確に色情報を拾い上げれず、イメージした映像に仕上げていくのが難しくなります。
1-1-2.映像全体の色味の統一
カラーコレクションは、各素材の色を整えていくと同時に、映像全体の色味も統一していく目的があります。
撮影シーンによって、素材の色味はバラバラになっているため、映像全体に違和感を生み出さないようカラーコレクションで色を調整していく必要があるでしょう。
適切な色の組み合わせは、視覚的な調和と統一感を生み出し、映像全体のバランスを整えてくれます。
1-2.カラーコレクションで行なう基本作業
カラーコレクションで行なう作業はさまざまありますが、一例として3つ紹介します。
1-2-1.輝度調整
輝度調整では、映像の明暗を適切に設定していきます。
輝度調整を行なうことで、
・明暗をつけることで映像の見やすさを向上させる
・明暗がハッキリする(コントラストがつく)と印象的な映像になる
・シーンに合わせて輝度調整を行えば感情や雰囲気を効果的に伝えることができる
・照明等の条件が悪い中で撮影を行なった素材の明暗調整ができる
などの効果が生まれます。
したがって、より質の高い、意図した印象を与える映像に補正していく作業となります。
1-2-2.ホワイトバランス調整
ホワイトバランス調整では、撮影された素材の色味を正確に表現するための調整を行なっていきます。
白を基準として、実際の色味と相違が出ないように調整をしていく形です。
ホワイトバランス調整によって、
・より自然な色合い・正確な色味の表現、イメージしている色彩の表現が可能になる
・撮影環境の光源によって素材毎の色温度が異なっていても、一貫した色表現ができる
・意図的に雰囲気や感情を演出することができる
などの効果が生まれます。
ホワイトバランスは、より自然かつ臨場感のある表現や世界観の演出、印象や雰囲気を意図的に伝える映像に仕上げていくためにも欠かせない作業となります。
1-2-3.彩度調整
彩度調整では、色の強さや鮮やかさの尺度を調整していく作業です。
彩度を上げればより鮮やかな印象に、彩度を下げればより落ち着いた印象になるなど、素材の表現力を調整することができます。
映像の躍動感や生命感を吹き込む作業ともいえます。
彩度調整によって、
・映像の印象や雰囲気を変えることができる
・特定の色の彩度を調整することで、特定部分を際立たせることもできるため、視覚的訴求力を高める
・映像が与える温度感を調整できる
・より自然な色合いに調整できる
などの効果が生まれます。
映像の表現力を豊かにする作業として、彩度調整は欠かせません。
2.カラーグレーディングとは
カラーグレーディングとは、映像に臨場感や雰囲気を表現するための編集作業を指します。
つまり、映像にスタイルを加えて視聴者側に伝えたいフィーリングやインパクト、メッセージ性を乗せていく作業です。
例えば、作品・シーンが暗い感じであれば寒色系の色味を強調する、明るい・楽しい雰囲気を伝えるのであれば暖かい色相に調整していきます。
作業としては、カラーコレクションでカラー補正をした後のステップとなり、カラー効果を加えていく形です。
カラーグレーディングは、編集を行なう人物によって大きく違いが出るため、クリエイティブさが問われる領域でもあります。
カレーディングを専門にしたカラリストと呼ばれる人もいます。
2-1.カラーグレーディングの目的
カラーコレクションと混同していることも多いため、ここでカラーグレーディングの目的について明確にしておきます。
2-1-1.最終的な色調や質感を決定する
カラーグレーディングは、単に色を補正するのではなく、カラーコレクションで調整した色情報をベースに、イメージしている映像に仕上げていく作業になります。
したがって、最終的な色調や質感を決定する作業であり、狙い通りの映像・作品に仕上げていくのが、カラーグレーディングの大きな目的です。
カラーグレーディングによる最終的な調整次第で、伝えたい感情や雰囲気、インパクトなどが大きく変わります。
2-1-2.映像に世界観を持たせる
カラーグレーディングは、撮影した素材と作品に持たせたい世界観をマッチさせる目的もあります。
カラーグレーディングによって、作品のシナリオやストーリーに沿って色調を調整し、映像に奥行きや臨場感を生み出すことで、製作者が伝えたいメッセージをより表現できることになります。
色が視聴者側に与える印象は大きいため、映画やCM、広告プロモーションなど、こだわった映像に仕上げる作品には欠かせない編集作業です。
3.カラーコレクションとカラーグレーディングの違い
ここまでの説明で、それぞれの目的や作業内容の違いはなんとなくでもイメージできたかと思いますが、今一度明確に整理しておきます。
簡単に概要を分けると、
カラーコレクション | 色の補正 | ・適正な色情報に補正する ・映像全体に統一感を持たせる |
カラーグレーディング | 色のスタイルを決める | ・最終的な色調や質感を決定する ・映像に世界観を持たせる |
となり、編集としては似たような作業といえますが、それぞれの目的や役割は別物になるということです。
実際、カラーコレクションで行なうメインの作業は、
・輝度調整
・ホワイトバランス調整
・彩度調整
になりますが、他にもコントラスト調整やカラーマッチング等も状況によって行なっていきます。
撮影環境によって崩れた色味や明るさのバランスを調整するのがカラーコレクションと考えておくとイメージしやすいかもしれません。
一方、カラーグレーディングはシナリオ等に沿って、イメージした映像に仕上げていくための最終工程(仕上げ)を行なっていきます。
作品の温度感がより伝わるように、色調を調整して世界観を作っていくのがカラーグレーディングと考えておきましょう。
尚、カラーグレーディングは制作者の創造性や意図によって編集内容は変わります。
いわばアートの世界ともいえるため、カラーグレーディングは正解がない領域といえます。
4.カラーグレーディングを行なうことで、映像の世界観を変えることができる
カラーグレーディングは、映像の世界観を引き立てる役割だけでなく、印象を大きく変えることも可能です。
最後にカラーグレーディングで行われる編集作業の一例を紹介しておきます。
4-1.LUT追加
LUTとはルックアップテーブルの略称で、映像に当てこむカラープリセットのことです。
映像の色味を数式で変換させる仕組みで、動画編集ソフトにLUTを追加すると、映像の色味を瞬時に変換させます。
イメージしている色味(世界観)に変えられるLUTを選んで追加すれば、簡単に映像を変化させるため、細かい調整など面倒な手間が減るメリットもあるので、LUTを活用する制作者は多いといえます。
LUTはさまざま種類が存在・利用ができるため、あらゆるシーンに活用されています。
4-2.HSL操作
HSL操作は、「色相」「彩度」「露出」の調整を指します。
意図して色の強調をしたり、反対に色のトーンを落としたりなど、イメージに近い映像となるように調整をしていく作業です。
実際、カラーコレクションでも調整をしていく箇所でもありますが、カラーグレーディングの段階で細かい調整を行い、最終決定していくようなイメージとなります。
4-3.ライティング調整
映像内に入る照明の光や太陽光、光によって生まれている影などの調整を行います。
カラーコレクションで行なうような明るさ調整とは異なる役目を果たしており、ライティング調整では映像の見え方(見た目)を調整する形です。
光を強調したい箇所や影を濃くしたい範囲の明るさを変えていきます。
視聴者が抱く印象に大きく影響する領域となり、カラーグレーディングでは欠かせない工程です。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
カラーコレクションとカラーグレーディングは似たような存在ではあるものの、それぞれの役割は異なります。
したがって、定義だけでなく、役割や目的も明確に理解している制作者のほうがより質の高い作品に仕上げられるといえるでしょう。
ただし、カラーコレクション・カラーグレーディングはどちらも高い専門知識が必要になる領域であり、編集に関する知識や経験によって、仕上がりのクオリティは大きく変わってきます。
よって、動画制作を依頼する場合は、制作者の専門性も確認しておく必要があるでしょう。
もし、「イメージ通りの動画を作りたい」「メッセージ性が伝わる動画にしたい」「とことんこだわった動画が作りたい」とお考えであれば、株式会社K.OFFICEに一度ご相談ください。
弊社では、ハイエンドなシネマカメラを使用し、想いを込めた映像に仕上げるプラン「the Cinematic(ザ・シネマティック)」など、ハイクオリティな動画制作プランを低価格でご用意しています。
広告業界で15年以上培ってきた経験を元に、映像制作のプロがあなたの動画制作を全面的にバックアップいたします。
気になった方は、一度下記バナーより詳細ご確認ください。
弊社の動画制作に関して、別の記事もありますのでよろしければこちらもご確認ください。
また、弊社は企業VP、CM制作からMV制作や採用動画など、企画から撮影、編集までワンストップでフォローできる強みを持っており、各方面から高い評価をいただいております。
さらに、YouTubeやショート動画、セミナー動画などに向けてさらにコストを抑えた撮影&動画制作もご提案可能です。
まずはお気軽にお問い合わせください。