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【映像制作者向け】8bit / 10bit / 12bit の違いとは?色深度の基礎と実践的な選び方を解説

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ

人間は、手段を目的として扱うから、自分に迷い、人に迷うのである
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ

映像制作の現場でよく耳にする「8bit」「10bit」「12bit」といった言葉。
なんとなく“高画質”のイメージがあるかもしれませんが、高画質とは少し異なり「色の情報量」=色深度(bit深度) を指しています。


「知らない言葉を、知らない言葉で説明しないでくれ!」
大丈夫です、この記事で用語の説明からあなたが使うべきかどうかまで手助けします!

この記事でわかること

  • 見た目で分かるbitでの違い
  • 簡単な仕組みの解説や、混同しやすい用語とのわかりやすい違い
  • メリットデメリット
  • それよりも大切な、使うべきどうかの判断基準

はじめに:まずは“見比べて”理解しよう


色深度(bit深度)ってなに?

すごく簡単に言うと、色の“なめらかさ”の数値です。
数字が大きいほど、グラデーションがきれいになります。

ですが、用語の解説や仕組みなんかよりも、とりあえず見た目での実感といきましょう。
サイトのアップロード画像が 10bit / 12bit に対応していなかったので、Youtubeになりますがご了承ください。

注)12bitについては、12btiに対応した視聴環境でもYoutubeの制限により10bitで表示される可能性があります。


8bit 10bit 12bitを比較|株式会社K.OFFICE

ブラウザ版Youtubeでは 10bit / 12bit 再生に対応しておりませんので、お手数ですが、アプリでご覧ください。

※ 10bit / 12bit に対応した環境でなければ、正しい色深度で再生されません。


目に見えてわかりやすい違いは、グラデーションの部分に現れていますね.

8bitは棚田みたいになってしまっていますが、12bitはすごくスムーズなグラデーションになっています。

この素材ではあまり目立たないところですけど、夕日なんかを綺麗に撮ろうと思ったら、グラデーションがこんなのになってしまうととっても嫌ですよね(夕日の動画で検証動画を作ればよかった)。


こういったガビガビはbit数の不足から出ています。
グレーディングを行うとノイズ&バンディング(帯みたいなやつ)が現れてしまいます。



スコープで色情報を見ればさらに一目瞭然です。
8bitなんかは、12bitに対して色がかなり飛び飛びになっているので、結果として断片的なスコープとなってしまっています。


つまり、色が破綻してしまっているといってもいいでしょう。

bit深度ってどういう仕組み?

まず、色深度(bit数)とは、簡単にいうと…
色を「どれだけ細かく扱えるか」の指標

bit深度は、1チャンネル(R・G・B)あたりに割り当てられる階調数を表します。

bit数階調数(1ch)表現できる色の総数(RGB合計)
8bit256約1,670万色(16.7M)
10bit1,024約10億色(1.07B)
12bit4,096約680億色(68B)

※これはカラースペースや圧縮率とは別の概念です。

つまり、10bitだと、Redが1024段階、Greenが1024段階、Bが1024段階となっていて
1024 × 1024 × 1024 = 約10億色(1.07B)
ということになります。

bit数が少ないとグラデーションの部分にバンディングが現れてしまうのは、階級が少ないことで細かく色を刻めず、結果あのようになってしまうのです。

これよりももっと詳しい解説が知りたい方は、他のサイトに素晴らしい解説がいくつも載っていますので、そちらをご覧ください!


解像度・カラースペース・圧縮率とはどう違うの?

bit深度(色深度)
・ 一つ一つの色をどれだけ“なめらかに”表現できるか
・ RGBの各チャンネルが持つ「階調の細かさ」

解像度(例:1920×1080、4K)
・ 画面上にどれだけ多くの“点”を敷き詰めているか(縦横のピクセル数)
・ 情報量の「広さ」

カラースペース(例:Rec.709, DCI-P3, Rec.2020)
・ 表現できる色の「範囲」や「色の傾向」
・ 広いカラースペースほど鮮やかで豊かな色が使えるが、表示機器の対応が必要

圧縮率(コーデック・ビットレート)
・ データ容量を抑えるために、どれだけ情報を減らすか
・ 高圧縮はファイルが軽くなるが、画質が落ちる/編集耐性が下がる

イメージとしては…

  • 解像度:どれだけ細かく分けて描けるか(= 画面の面積)
  • カラースペース:どんな色の種類を使えるか(= 絵の具の種類)
  • bit深度:その色をどれだけ滑らかに塗れるか(= グラデーションのきめ細かさ)
  • 圧縮率:完成した絵をどれだけ軽く保存するか

つまり、bit深度は“階調のきめ細やかさ”であり、
他の項目とは別軸の「画の深さ」を担う要素です。


今度はもっと具体的に、使用することで起こるメリットデメリットで比べていきます

映像そのものに起こる「bit数のメリット・デメリット」


といきたいところですが…
なんと、映像に対してbit数を上げることは、メリットしかありません!
bit数が上がれば、表現は確実に丁寧になり、映像はリッチになります。

メリット(映像の見た目に対する影響)

  • グラデーションが格段になめらかになる
    空や肌、陰影などに生じがちな“バンディング”が抑えられます。
  • 色補正しても破綻しにくい
    カラーグレーディングをしても、色が崩れず耐性が高い。
  • 映像に「深さ」や「空気感」が宿る
    微細なトーンの再現により、リアルで没入感のある表現が可能に。
カラーグレーディングとは?

カラーグレーディング(Color Grading)とは、
映像の色味・明るさ・コントラストなどを意図的に調整し、作品の雰囲気や世界観をつくりあげる作業のことです。

詳しい解説はこちら。

映像の世界では、カラーグレーディングは編集の最終仕上げとも言える重要な工程
ここでbit数が高いかどうかが、クオリティを大きく左右します。



「まじかよ!このサイトを今すぐにも閉じて、10bitに早速あげよう!」
すみませんちょっと待って下さい

実は、bit数を上げるだけでは“映像の美しさ”は保証されません

高bitの恩恵は、扱い方次第でゼロにもなります。
もっと言えば、完全に無駄になることさえあります。
そうじゃなくても、目的によっては高bitにしなくていいパターンもあります。

なぜ?
どういうときに“無意味”になるの?

次のセクションでは、
「高bitにしなくていい/する意味がないケース」を具体的にリストアップしていきます。

「自分の制作に本当に高bitは必要なのか?」
その判断基準を、わかりやすく整理しました。

自分の制作に高bitは必要なのか?


「高bitにしなくていい/する意味がないケース」は、例えば以下の3パターンがあります。

  1. そもそも高bitを生かし切るには、四つの壁が存在し、それらどれかが問題になる。
    1.撮影 2.ポスプロ(モニター、ソフト) 3.公開媒体. 4.視聴方法
  2. カラコレやVFX等、映像の情報量を求められる作業をするつもりがないなら手間が増えるだけ
  3. 撮影から発信までを早くしたい方

これらについて順に次セクションから掘り下げていきます

1. 高bitを扱うの4つの壁


高bitで撮影しても、それをきちんと活かし切るには“条件”があります
以下のどれか一つでも満たされていないと、高bitの良さが 失われる or 無意味 になる可能性があります。


1. 撮影:そもそも高bitで記録されているか?

  • 使用しているカメラ・スマホが 高bit記録に対応しているかが前提です。
  • 対応していても、「設定が8bitのままだった」では意味がありません。
  • フォーマットも重要です(Log撮影やProResなど、高bit記録可能な形式を使っているか)

注意点
一般的なスマホや家庭用カメラの多くは、デフォルトで8bit記録です。
高bit撮影は 設定変更 or 対応機材の使用が必要になります。

Log撮影/RAW撮影とは?

簡単にいうと情報をより多く取り込んでデータにするための撮影方法です。これらを使うことで色深度の大きい動画が撮れます。

詳しい解説はこちら。


Tips : スマホで対応している機種は?
10bit対応の有無(代表例)
機種10bit記録備考
iPhone 12 以降対応下で詳しく解説
Google Pixel(Pixel 7 pro以降)対応HDR10+撮影も可能
Samsung Galaxy(S20以降)一部モデル対応Pro Videoモードなどで手動設定
その他ミドルレンジ機非対応多数要確認・大半は8bit撮影

注意点
「HDR撮影対応」=「10bit」ではあるものの、出力フォーマットやアプリによって8bitに変換されている場合もあるため、撮影時の設定確認が重要です。

iPhoneモデル別:10bit動画記録対応表

Appleは「10bit対応」とは明記していませんが、これらの形式を通じて実質的に10bitでの映像制作が可能になっています。

モデルDolby Vision HDR(10bit相当)ProRes 10bit(422HQ)主な注意点
iPhone 15 Pro / Pro Max対応対応(最大4K60fps、USB-C & 外部SSD可)実用的な10bit収録が最も安定したモデル
iPhone 14 Pro / Pro Max対応対応(最大4K30fps)内部ストレージ制限あり。128GBモデルは非推奨
iPhone 13 Pro / Pro Max対応対応(最大4K30fps)128GBモデルはProRes記録が1080pまで
iPhone 12 Pro / Pro Max対応対応Dolby Visionは撮影可能だがProResは未対応
iPhone 12 / mini 以下非対応非対応10bit記録は不可(全て8bit記録)
用語補足:Dolby Vision / ProRes とは?
Dolby Vision HDR

Apple独自のHDR動画記録方式。内部的に10bit処理され、より広いダイナミックレンジと滑らかなグラデーションが特徴。特別な設定なしでも比較的簡単に利用可能。

Apple ProRes(422 HQ)

高ビット深度・高ビットレートの編集向け中間コーデック。10bit 4:2:2で記録され、色の破綻が極めて少なく、編集耐性に優れる。

注意点:ProResはiPhone Proモデル限定機能で、ストレージ容量やUSB-Cポートの有無によって記録解像度や持続時間に制限がある場合があります。



2. ポストプロダクション:モニターとソフトが高bit対応か?

  • 編集ソフトが高bit素材を正確に読み取り、処理できるか?
     → Premiere Pro / DaVinci Resolve(一部有償版) / Final Cut Pro などは対応済み。
  • モニターが高bit表示に対応しているか?
     → 多くの一般的なPCモニターは8bit(疑似10bit含む)。
     → EIZOやBenQのプロ向けモデルなど、10bit表示可能なディスプレイが必要。
    → 12bit以上であれば、カラーマネジメントモニター等さらに高価なモニターが必要。

ここがボトルネックになりやすい!
モニターが8bitだと、高bitの階調も結局見た目には再現されません
つまり、「破綻してないか確認したくても確認できない」状態になります。


3. 公開媒体:どこに公開するかで全部変わる

  • シアター上映などは基本問題ないだろうが、心配であれば確認。
  • YouTubeや一部の動画配信サービス(Netflixなど)は10bit・HDRに対応。
  • SNS(Instagram / TikTok / Xなど)は自動的に8bit圧縮 or SDR変換されるため、高bitの意味が失われます。
Tips : 各SNSの10bit対応状況

プラットフォーム10bit対応状況備考
YouTube対応HDR10 / Dolby Vision / HLG対応。
(注:12bitについては下で言及)
Instagram未対応公式言及なし。Pixelからの投稿で一部対応の可能性あり。
TikTok非対応10bit素材はSDR変換される
X(旧Twitter)/ LINE非対応色深度は保持されない

深度のある映像は、視聴環境にも依存します。
現時点で10bit映像を最大限活かせるプラットフォームは、YouTubeが最有力です。

Youtubeでの 12bit 対応について

YouTubeでは12bit HDRファイルをアップロードすることが可能と公式に明記されています。
ただし、YouTubeの公式資料には再生時のビット深度については一切言及がなく、配信が10bitまでに制限されている可能性が高いと考えられています。


最終出力が8bitなら、編集段階で高bitを使っても視聴者には伝わりません。
→ どこに出すか?が最初に決まっているなら、それに合わせたbit数選びが重要です。


4. 視聴方法:ユーザー側のモニターが対応しているか?

  • 視聴者がスマホのブラウザで見る場合、多くは8bit再生(アプリ経由でも環境依存)。
  • PCモニターやTVがHDRや高bit出力に対応しているか?は千差万別。

ユーザー環境はコントロールできません。
あなたが高bitで制作しても、その階調の豊かさを再現できない人のほうが多いかもしれません。

自身の映像作品をしっかりと届けたいならば、相応の環境が必要になることもあります。

Tips : メジャーな視聴環境の10bit対応状況
デバイス10bit/HDR対応備考
iPhone(12以降)Youtube等アプリ再生でHDR対応Safariブラウザでは制限あり
MacBook(Retina搭載機)HDR再生可能YouTubeアプリでは10bit視聴OK
Android(ハイエンド機)端末によるGalaxy Sシリーズ、PixelなどはOK
Windows PCモニターとGPU次第HDRモードON+10bitモニター必須
一般的なPCモニター大半が8bit表示疑似10bit(FRC)も多い
テレビ(4K/HDR対応機)近年のモデルは対応HDMI経由で表示可。設定要確認
スマホブラウザ非対応多数YouTubeアプリ等から視聴必要

注意点

Android端末やテレビでも、アプリ側がHDR/10bitをサポートしていないと反映されない

iPhoneやMacなどApple製品は、「10bit相当の表示」は可能
 → ただし、アプリ(カメラ・写真・YouTubeなど)内限定
 → Safariなどブラウザでは8bit再生になる場合も多い。

Appleの「10bit対応」表記について

Appleは仕様表記上で、“10bit対応”とは明記していません
ただし、以下のような機能から実質的に10bit処理されていることがわかっています:

  • Dolby Vision HDR撮影 → 10bitカラー使用
  • ProRes 422HQ(10bit)記録 → 明記あり(Proモデル限定)
  • Apple Photos / Apple TV アプリ内で10bit再生可能

つまり、「Apple製品は10bit表示・記録ができるが、10bitという言葉で公式に強調していない」という立場です。



この4つがそろって、ようやく“高bitの意味”がある

崩せないとどうなる?
撮影カメラが8bitしか記録できないそもそも高bit素材にならない
編集モニターが8bit、ソフトが非対応編集中に色破綻に気づけない/調整が難しい
公開Instagramに投稿自動で8bit化、階調表現が消える
視聴スマホブラウザで再生再生側が表示できず違いが見えない

このように、高bitは「撮る・作る・出す・見る」すべてが揃って初めて効果を発揮するものです。
だからこそ、「とりあえず高bitにしとけばいい」ではなく、あなたの制作目的に合わせた判断が必要になるのです。

2. カラコレやVFXなど、高度な編集をしないなら高bitは不要


続いて、高bitが必要のない場合です。

高bitの最大のメリットは、色調整や合成といった“映像に手を加える作業”に耐えられることです。
具体的には:

  • カラコレ・カラグレ(Log撮影素材など)
  • VFXやキーイング(クロマキー、合成)
  • LUTの重ねがけや露出の大幅補正
  • シーンごとのマスクや色分けによるトーン設計

こういった処理では、**bit数が少ないとすぐに破綻(ノイズ・バンディング)**が起きます。
つまり、高bitは「あとからいじる前提」で使うためのスペックです。

でも、もしあなたが:

  • 撮影してそのまま使う(=撮って出し)
  • 簡単な色補正しかしない
  • SNS用にテンポよく編集するだけ

といったスタイルであれば、高bitを使う意味はほとんどありません。 ファイルサイズが大きくなる分、扱いづらさだけが増える可能性もあります。

3. スピード重視の制作スタイルには不向き


もう一つのポイントが“スピード”。

  • 撮ってすぐSNSに投稿したい
  • 軽いノートPCやスマホで編集したい
  • イベントなどの現場で即納品したい

こういった「撮影から発信までを最短距離で走りたい人」にとって、 高bitは“重すぎる荷物”になることも。

  • ファイルサイズが大きい
  • 編集ソフトが重くなる
  • 書き出し・転送・アップロードに時間がかかる

結果:高画質どころか、スピードが削がれて非効率に。

高bitは「あとからじっくり作り込む人」のための機能です。 そうでない人には、8bitでの軽快な編集の方がずっと合理的です。

まとめ


bit数は「目的」で選ぼう

高bit(10bit / 12bit)は、映像に深みや階調の滑らかさを与えてくれる非常に強力な武器です。
でもそれは、「色をいじる」「作品を仕上げる」ためにこそ意味があるもの。

  • 撮って出しや簡易編集が中心 → 8bitで効率重視
  • カラグレやVFX、HDR納品 → 高bitで最大クオリティ追求

つまり、「bit数」はスペック表の飾りではなく、あなたの制作目的に最適化されるべき選択肢です。

「自分の目的に合ってるか?」
このシンプルな視点だけで、bit選びの迷いは一気に晴れるはずです。

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最初から、最後まで。
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シネレンズの他に動画撮影に特化したシネマカメラについて過去に解説している記事もありますので、そちらもよかったらご覧ください。

他にもカラーグレーディングを解説した記事もあります。
いずれも2〜3分程度で読める記事となっております。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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