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シネマカメラとは?ワンランク上の動画制作を目指す為の撮影機材

こんにちは。株式会社K.OFFICEの奥休場です。

You Tubeの存在が大きいこともあり、最近は「動画」というものが多くの人にとって当たり前になりつつあります。

さらに、「動画を見る」だけでなく、撮影・編集といった領域までプロだけでなくアマチュアやセミアマチュアといった一般の方も手が出しやすくなっているのも事実です。
これは技術進化によって、スマートフォンやミラーレス一眼カメラでも気軽に撮影できるようになったのが大きな影響でしょう。

ただし、映画やCM、企業の広告動画など高いクオリティを求める動画を制作するとなった時に、「ミラーレス一眼は動画撮影に使えるのか?」「シネマカメラの特徴やミラーレス一眼との違いは?」といった撮影機材に関する疑問も出てくると思います。

そこで、今回は本格的な動画制作において、

・シネマカメラ、ミラーレス一眼の特徴
・ミラーレス一眼による動画制作の可否
・それぞれの性質や機能による性能比較
・シネマカメラが適した動画制作

について詳しく解説していきます。

 

1.シネマカメラとは

シネマカメラとは、映画やCM、MVなど映像にこだわるべき撮影時によく使われているカメラです。
豊かな色味と美しい世界観の表現、より洗練された映像を実現できるカメラになります。

したがって、本格的な動画制作を行う際は、一般的にスチール撮影がメインとなるミラーレスカメラや一眼レフカメラではなく、シネマカメラを活用した撮影がおすすめです。

ただし、シネマカメラは誰でも扱えるわけではなく、

・撮影時のオートフォーカスが使えない(使えてもおまけ程度)
・編集時のカラーコレクション・カラーグレーディングの知識が必要になる
・ハイエンドな機材になると、取り扱いに専門的な知識が必要になる

など、ある程度の知識と経験が必要になる撮影機材でもあります。

そのため、シネマカメラを使った撮影を希望する場合は、経験豊富かつカメラに熟知したプロカメラマンを見つけて依頼する必要があるでしょう。
またカメラ本体やレンズ単体で数百万円するのが当たり前の世界になりますので、予算もかかってきます。

 

2.シネマカメラの魅力とは

では、シネマカメラの魅力について、具体的に解説していきます。

 

2-1.RAW収録が可能

シネマカメラは、色情報が全て保存できるRAW収録(=生データ)が可能です。
RAW収録であればカメラによっては12bit(表現できる色数が約687億1000万色)や16bit(同、約2814兆色)での撮影も可能となるため、 撮影後のグレーディングにおいても画が破綻することなく編集ができます。

映像にこだわる・イメージ通りに仕上げるとなれば、撮影後の明るさやカラーバランス、コントラスト等のカラーコレクション・カラーグレーディングが鍵を握っているため、RAW収録ができる点は大きな魅力です。

つまりRAW収録のメリットを簡単にまとめると、「たくさんの色情報を収録できることで、撮影後の編集(ポストプロダクション)作業で世界観にとことんこだわった映像を作れる」ということです。
そうやって作られた世界観が、俗にいう「シネマティック」という映像になってきます。

 

2-2.幅広い拡張機能

シネマカメラは、動画撮影の幅をより広げる拡張機能が豊富に揃っている点も魅力です。
動画撮影に特化した拡張機能が用意されているため、動画という観点でいけばスチール撮影がメインとなるミラーレス一眼よりもより快適な撮影・よりこだわった撮影がしやすいといえます。

機種によって拡張性は異なりますが、シネマカメラの中では比較的、価格的にもサイズ的にも取り扱いのしやすいSONYのFX3を例にした場合、

・ボディにネジ穴(1/4-20 UNC)が5ヶ所用意され、ケージ不要で周辺機器と接続できる
・付属のハンドルユニットにXLR/TRSコンボコネクター×2が搭載され、別売りマイクをつけて高音質な録音が可能
・ハンドルユニットにはアクセサリー用ネジ穴が3つあり、外部モニター/レコーダー/外部バッテリー/ビデオライト/エクステンショングリップ等の接続が可能

といった形で、優れた拡張性を持っています。

拡張性が高いとさまざまな撮影スタイルが構築できるため、撮影の幅が大きく広がり、イメージ通りの動画撮影が可能です。

 

3.ミラーレス一眼で動画作成は可能か

ここまでの説明で、動画撮影でより鮮明な美しい映像に仕上げるなら、シネマカメラが適していることはお分かりいただけたと思います。

一方で、高性能化進んでいるミラーレス一眼で動画制作がそもそも難しいかと問われると、実はそんなことはありません
最近のミラーレス一眼では、「10bit 4:2:2 でのlog収録」が可能な機種もあるため、一定レベル以上の動画制作は可能です。

むしろ、

・コストを抑えたい
・編集時のカラーグレーディングもある程度触れたら良い(ある程度と言っても、10bitならばけっこう触れます)
・映画やCMほどの映像に仕上げる必要はない

のであれば、ミラーレス一眼で動画制作を進めるのも良い選択だと思います。

ただし、ミラーレス一眼はシネマカメラよりも劣ってしまう部分は確実にあります。

例えば、シネマカメラには、

・XLR端子といった外部接続端子が標準で多く付いている
・長時間録画が可能
・ダイナミックレンジがより広く残せる

など動画撮影において優位性の高い機能が搭載されています。

特に、ミラーレス一眼は進化しているとはいえ、まだまだ長時間録画を苦手としています。
加えて、放熱性が低いミラーレス一眼で長時間の動画撮影をしていると、高温になりすぎて録画が止まってしまうといったケースも起こり得るでしょう。

結論としては、ミラーレス一眼は十分、動画撮影できる機能を持っていますが、制作する動画の種類によってはシネマカメラに軍配が上がる形です。

 

4.【性能比較】ミラーレス一眼とシネマカメラの違い

ここからは性能にフォーカスして、もっと具体的にミラーレス一眼とシネマカメラを比較していきます。

4-1.画質

画質はイメージセンサーの大きさによって、豊かな諧調表現、撮影時のリアルな色の表現が変わってきます。
実際、ある程度照度(明るさ)があるところではそこまでの差は出ないかもしれませんが、ロケで安定した光がない現場などで撮影すると、ミラーレス一眼とシネマカメラでは画質の違いが出てしまいます。
またスタジオ撮影でライティングが組める現場であったとしても、絵作りで重要な肌の質感(スキントーン)などは、やはりシネマカメラに軍配が上がるでしょう。

最近のミラーレス一眼であれば、ある程度の画質は保証できますが、シネマカメラと比べると映像の品質が劣ってしまうのは否めません

 

4-2.AF性能

AF性能とは自動で被写体にピントを合わせてくれる「オートフォーカス機能」を指します。
AF性能を比較した場合、ミラーレス一眼のほうが優れている(ミラーレスのAF性能自体は機種によって差がある)といえます。

そもそも、シネマカメラにはAF機能が搭載されていない機種も多く、基本的にはMFでフォーカスを合わせる必要があります。
というのも映画では「フォーカスプラー」とフォーカスを制御する為のスタッフがいるからです。
フォーカス送りに慣れている人であれば、ワンオペでもMFである程度調整できるとは思いますが、フォーカス送りに慣れていない方や、ワンオペでの現場となると、AF機能があるミラーレス一眼に優位性があるでしょう。

 

4-3.ビット深度

ビット深度とは8bitや12bitで表され、映像を記録する際の色の諧調を指しています。
つまり、表現できる色数を数値化したものです。

最近は10bit撮影ができるミラーレス一眼も登場はしていますが、シネマカメラは12bit以上で撮影できる機種が多くなっています。
ビット深度は高いほうが色のグラデーションも綺麗に出しやすいため、シネマカメラに優位性があるでしょう。

ちなみに、bit数による色数の違いは下記のようになります。

8bit 4:2:0 約1677万色
10bit 4:2:2 約10億7374万色
12bit 4:4:4 約687億1000万色

ビット深度の違いは、これだけ色数に大きな差を生むため、編集で世界観をしっかり作り込みたいのであればシネマカメラを選ぶのがおすすめです。

 

4-4.手ぶれ補正

最近のミラーレス一眼に搭載される手ぶれ補正は非常に精度が高く、それなりのスペックの機種ならば、歩きながらの撮影も難なくこなすことができます

一方シネマカメラは、手ぶれ補正機能を搭載していない機種が基本となってしまうため、滑らかな映像を撮影するにはカメラマンの技量や、専用の機材が必要です。
TVなどでジンバル(手ブレを抑える機材です)を手に持って撮影していたり、頭の上からカメラを吊り下げて撮影している人を見たことはないでしょうか?
ただ、状況によっては手持ち撮影するしかない場面もある(ジンバルを準備する時間がないなど)と思います。

そういった時に手ぶれ補正があると、慣れていないカメラマンでも即座に対応できるため、ミラーレス一眼が力を発揮してくれるでしょう。

 

4-5.収録形式

収録形式には大きな違いがあり、シネマカメラであればRAW収録が可能となります。

RAWとは、撮影時の色情報が圧縮されることがなく、すべての情報を保存した「生データ」のことです。
つまり、目で見えている風景と変わらない状態の映像を残せます。

RAW収録ができれば、データ内に多くの色数が保存されているので編集の幅が広がり、イメージに近い世界観を表現できる点がメリットです。
ただし、その分データ容量は非常に重くなります

一方、ミラーレス一眼でグレーディングを行う際は、LOGという収録形式を使うことが多いでしょう。

LOGとは、センサーが取り込んだ情報に色調・彩度・諧調が処理され、ある程度データ容量が圧縮された収録形式のことです。
データ容量が小さく扱いやすい収録形式といえます。

RAWが抱える大容量データを解決できるのがLOGではありますが、撮影後に色温度やISOの変更ができないなど編集の幅が狭い点がデメリットです。

したがって、こだわった映像を作り込める・より美しい映像に仕上げるという視点でいけば、RAW収録ができるシネマカメラのほうが優位性はあるでしょう。

ただし、実際は撮りたい映像の内容・映像に求めるレベル、そして予算に合わせて、シネマカメラもしくはミラーレス一眼を選べば良いと思います。

 

4-6.録画時間

今でこそミラーレス一眼でも1時間以上撮影できるようになってきましたが、スチール撮影を目的として作られたカメラということもあり、まだまだ長時間録画は苦手としております。

最大の不安要素は長時間録画によって本体が高い熱を持った時で、放熱性が追いつかず録画が自動で途中で止まってしまうケースです。
万が一、撮り直しできないシーンで起きてしまったら、取り返しのつかないことになってしまいます。
(ミラーレス一眼のメイン用途は動画撮影ではないため、放熱性に重点を置いていません。)

シネマカメラは動画撮影を目的としているため、放熱性の高い設計がされていたり、ファンがついていたりと長時間録画も難なくこなせる設計です。
撮影が長時間になるのであれば、シネマカメラの方が望ましいでしょう。

 

4-7.入出力

前述でも解説したように、ミラーレス一眼はスチール撮影をメインとしていますので、マイク用端子や映像の出力端子に物足りなさを感じることになります。

ミラーレス一眼のマイク端子に関しては、3.5mm音声ステレオ端子が搭載されている機種が多く、XLR端子のマイクを付けるには変換ケーブルが必要になります。
映像出力に関してもHDMIマイクロ端子の搭載が機種も多く、ちょっと心許ないところがあります。

一方、シネマカメラのマイク端子はXLR端子、映像出力はフルサイズHDMI端子やそれよりも信頼性の高いSDI端子を搭載しており、動画撮影に適した入出力になっています。

変換ケーブル等を準備する煩わしさ、強度や拡張性を考えれば動画撮影にはシネマカメラのほうが適しているでしょう。

 

5.動画制作でシネマカメラを活用するなら

ここまで解説してきたように、ミラーレス一眼でも動画制作は十分可能ではあるものの、イメージした世界観の表現などより質を求めるなら、シネマカメラが良いというのはお分かりいただけたかと思います。

つまり、動画制作でシネマカメラを活用する場面は、

・ある程度コストをかけても映像表現や世界観にこだわりたい時
・イメージしているものに極力近づけた動画制作が必要な時

となります。

実際、ある程度の予算規模の映画やMV、CMなどの広告制作ではシネマカメラを使用しているのが一般的です。

シネマカメラにしか出せない映像の良さがある点も理解しておきましょう。

 

6.クオリティの高い動画制作にはワンランク上の撮影機材が必要

映像のクオリティを追求するとなるとシネマカメラが必要になりますが、その分価格帯もミラーレス一眼の平均値よりもシネマカメラのほうが高額になってきます。

さらに、周年機器もしっかり揃えるとなると、それこそ「総額数百万円」といったラインになってしまうでしょう。

それだけ映像の仕上がりに差が出てくるため、動画の分野ではワンランク上にあたるシネマカメラの存在が必要になるということになります。

もし、動画制作を外注するのであれば、どんな撮影機材を使用する制作会社なのかまでチェックしておくと、イメージ通りの動画制作に近づける要素になるので覚えておきましょう。

尚、弊社の動画撮影はSONYのシネマカメラ「FX3」を使用します。
FX3の特徴として、ミラーレス一眼と変わらないコンパクトな設計でシネマカメラのような広いダイナミックレンジと豊富な入出力を備えているということがあります。
また外部レコーダーを活用することで、12bit ProRes RAWでの収録が可能です。
ARRIやRED、同じSONYでもVENICEといったハイエンドのシネマカメラと比較すると、当然劣る部分は多々ありますが、その分、コストを抑えてシネマライクな映像を提供することが可能です。

 

 

7.まとめ

いかがでしたでしょうか。

ミラーレス一眼とシネマカメラのどちらでも動画制作は可能ですが、それぞれ性質や機能は異なります。
必ずしも動画制作はシネマカメラでなければならないというわけではなく、制作する動画の種類や求めるクオリティ次第で適したカメラが変わってくる形です。

もし、「これから動画制作を検討している」「クオリティの高い広告動画を制作したい」等お考えであれば、一度株式会社K.OFFICEに一度ご相談ください。

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RAW収録に関しては、以前に取り上げた記事がありますので、そちらも一緒に見ていただくことをおすすめします。

LOG?RAW?その違いとは?ワンランク上の動画制作を目指す為の撮影方法

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